超ご無沙汰しておりました。月です。当初の予想通り、パタッとレポートを書かなくなっておりました。書く事が無かったわけで
は無いのですが、やはり情熱の問題です。最後のレポートからほとんど1年経ってしまいましたね。
思うようには乗れる機会が無かったこともありましたし、一人で
ちょこっと乗る分にはEXCの方が使いやすいこともあって、なか
なか距離が伸びていませんでした。今回、念願の北海道グランド
ツーリングに出掛けて、アドベンチャーの魅力を思い切り味わう
機会が出来ました。「バイクでいつかは北海道」は、ずーっと思って
はいたものの、いざ実行に移そうと思うと時間の問題で諦め続けて
いましたが、今年の夏、ちょっと仕事の関係でも気分をリセットしたい
思いもあって、「えーい、行っちゃえ!」と1週間の休みを取って、つい
に北海道へ。もちろん、嫁さんと二人です。
 北海道に行く前に、うちの950アドベンチャーはトライでばっちり整備してもらいました。それから、タイヤ交換も。交換前の
走行距離が5500キロで、ちょっともったいなかったんですが、あと2000キロが限界、という感じの減り方でした。折角北海道
に行くのに丸坊主寸前のタイヤと言うのも面白くないので、早めの交換となりました。銘柄は純正と同じピレリのスコーピオン
950アドベンチャーに合う他のタイヤと言えば、よりオフロード向けのメッツラーのMCEカルーぐらいかと思いますが、私の場合
圧倒的にオンロード主体なので、スコーピオンが最適と思います。実際、これまでにも何度か書いていますが、スコーピオ
ンのオンロード性能はとても高いと思います。グリップは良いし、突然ズルッと滑りそうな感触が無い穏やかさがあるので、
リラックスしたまま結構とんでもないペースで走れてしまいます。その代わり、ライフは決して長くは無いですね。タイヤの
寿命なんて走り方次第とは思いますが、平均的な私が乗っても絶対に1万キロは無理、という感じです。

 もう一つの旅支度として、ついにナビを装着しました。選んだのは
Mio P350というPDAタイプのものです。ガーミンの様に防水性が無
いのはちょっと問題ですが、機能では明らかにMioの方が上でしょう。
もちろん、最近のカーナビの様な性能を期待してはいけませんが、
実際に知らない道を行く時には大いに役に立ちましたから、ちゃんと
ナビゲーションの役割は果たしてくれます。この手のものはあっという
間に進化しますから、あまり気合を入れすぎず、コストとのバランスで
その時に良いかなと思うものを選べば良いと思います。2年使えたら
充分でしょう
 さて、いよいよ北海道へ。ルートはお決まりの敦賀から苫小牧へのフェリーで上陸。色々事情あって、私はバイク、嫁さん
は自動車での移動でしたが、現地では主にバイクで行動しています。ゼータクなキャビンを取ったので、船旅は至極快適で
した。苫小牧には夜に着きますから、まず最初の晩は苫小牧で一泊。翌朝8時に出発し、私は海岸沿いにずーっと南下して
襟裳岬を経由して、北上、釧路をかすめて目的地の弟子屈まで移動しました。嫁さんは、十勝を抜けて、足寄、阿寒湖を経
て弟子屈へ。距離にすると前者が100キロぐらい長くて、430キロほど走りました。それでも夕方6時前には着きましたから、
いかにペースが速かったか。北海道の道は本当に空いています。それから、摩周温泉のとある安旅館に5連泊しました。
そこをベースキャンプとして、道東をめぐるツーリング三昧、というのが今回の計画でしたが、これが結果的に大成功でした。
折角来たんだから、とばかりについ色々な場所に行きたくなりますが、宿を変えると荷物を全部持って、雨だろうと移動しな
くてはならなくなりますが、天気と気分次第で翌日行く場所を決められるのは良かったです。嫁さんが車で行った事もあり、
着替えもたっぷりと、ライディングウェアやヘルメットも2セット持って行くことが出来ましたから、汗臭いウェアを毎日着なくて
も良かったので、重宝しました。さらに、システムケースも、一人の時はサイドケース、タンデムの時はトップケース、林道に
行った時はタンクバッグのみ、と一番使いやすい装備を選ぶことが出来たのもライディングを楽しくしてくれたのに間違いあり
ません。フェリーで見かけた他のライダーの多くが、今にも落ちそうなほど、不安定な荷物の積み方をしていましたが、あれ
ではバイク本来の能力が発揮出来ないのではないかと思います。荷物をうずたかく積み上げたCBR1000RRのハンドリング
なんて、いかがなものでしょう。その点、最初ッから荷物を積むことを考えて作ってあるシステムケースはライディングに
悪影響をほとんど与えません。尖ったバイクの楽しさは否定しませんが、やはりツーリングの楽しさは総合力でしょう
 北海道のツーリングリポートなんて、山ほどあるでしょうから、初心者
の私が語ることなどありませんが、景色の美しさで言ったら道東は最
高だと思います。弟子屈は屈斜路湖と摩周湖の間にあって、根室半
島や知床半島へも日帰りツーリングは楽勝です。湖で一番印象に
残ったのは阿寒湖の近くにある「オンネトー」(写真)という小さい湖。
雌阿寒岳と阿寒富士を背後に、湖面が映し出す緑がとても美しかった
です。それから、摩周湖の水が湧き出ている(?)という「神の子池」
(写真)は水底が全て見える透き通った小さな池でした。あとは、酪農地
帯を抜ける、呆れるほど長い直線道路や、根室半島の荒涼とした海岸
線に沿ったワインディングロードも、本州では決して経験できないツーリ
ングコースですね。滞在中は天気も最高に良くて、空いた良い道
素晴らしい景色、良いバイク、とこれ以上無いというぐらい素敵なツーリング体験でした。思わずヘルメットの中で「北海道
スゴイぞー!」と叫んでしまうぐらい気分が良かったです。
 タンデムが主体でしたが、ツーリングバイクとしての950アドベンチャーの良さは今までにもしつこく書いている通り。今回
北海道の絶好のロケーションを得て、まさに「北海道バイク」とでも言いたくなるほど素晴らしかったです。乗り心地が良く、
タンデムでも面白さが殺がれない外乱に強いハンドリング、それから追い越しをそれこそ3秒で終わらせられる加速力も、
楽しいだけでなく安全でさえあります。野口さんのシートのお陰で、座る位置が変えられないタンデム時でも300キロぐらい
まではお尻の痛みを感じることも無いので、「そこに道がある限り、どこまでも・・・」ってな感じで、ツーリングの王者と言い
切ってしまいましょう。相変わらず自分のバイクをべた褒めしていますが、これを作ったKTMには惜しみない拍手を送りたい
のと、これを選んで本当に良かったと痛感します。
 さて、今回950アドベンチャーの凄さをさらに実感する新しい体験も出来ました。ご存知の通り950アドベンチャーもKTMファ
ミリーの一員、生まれはダートなのですが、排気量の割りに軽いとは言えその巨体、とんでもないほど凄いパワーで、とても
じゃないですが林道に持ち込む気がしません。こかした時の経済的ダメージも深刻です。しかしここは北海道。舗装されてい
ない道があっても当たり前。ツーリングマップル(TM)とかで見る限り、北海道のダートは岐阜の山奥の様にアップダウンも
無く、フラットで直線的なダートが多そうです。ここまで来てダートに全く入らずに帰るわけにはいかないでしょう。
そこで今回摩周温泉での滞在4日目に、嫁さんを置いて一人ダートランにチャレンジしました。その間嫁さんはアイヌ博物館
とかに自分で車に乗って出かけておりました。こんな場面でも2台で行った効果ありでした。
さて、どこから行くか?まずは本当に直線だけの様なダートで人間を慣らすことからと思い、弟子屈の近くにある開陽台付
近の虹別林道へ。この付近はダートだらけで、ナビを見ても結局どこを走っていたのか良くは分かりませんが、多分本線を
走っていました。緊張しながら最初はそーっとダートに進入。確かに虹別林道はずっと直線で、TMには「ハイスピードダート」
と記載されていますが、石がゴロゴロしているのと所々洗われた溝もあるので、強行突破は危険。アップダウンもありますか
ら、ハイスピードで下りに前輪が溝にはまったりしたら怖いです。とにかくダートの感触を確かめることに専念。霧雨というか
霧がかなりあったのも安全第一を心がけさせたのでした。しかしだんだんと「結構いけるじゃん」の感覚が芽生えてきて、
所々ギアを2速や3速にわざと落としては無用にガバッとスロットルを煽り、リアタイアが路面を掘る感覚を楽しんでおりました
虹別林道(15キロぐらいあったでしょうか)を無事通過し、そこからは舗装道路で鬱憤を晴らすが如く他の車やバイクを蹴散
らしながら(これが両立するのが950アドベンチャーの凄いところ)裏摩周湖展望台へ。
 

 霧が半分くらいかかった摩周湖の幻想的な風景を眺めたあと、
峠を下って先述の神の子池に立ち寄りました。ここへ行くには
2キロほどダートを走るのですが、自動車も走っていることもあって
路面は硬くしまっています。所々水溜りの凸凹はあるものの、
こんな道はアドベンチャーにとっては楽勝楽勝。なんせレー
サーレプリカでここを通って神の子池まで行く人もいたぐらいです。
 無茶をしなければダートも走れるな、という自信が出てきて、次の目標の屈斜路湖畔林道へ。湖の北側(川湯側)からの
進入を試みましたが、入り口がどうやっても見つからず、細いダートに入っては行き止まり。仕方なく引き返しました。
国道391号線を摩周温泉方面へ南下し、美留和(びるわ)という町のちょっと手前を右に折れて入る池の湯林道へ、
途中にキンムトーと呼ばれる沼がある林道です(TMに載ってます)。この道が最高に走りやすかった。ほぼ直線ですが、
所々緩やかなカーブとアップダウンがあり、森林の中を抜けるとても気持ちの良いダート林道でした。だんだん人間も調子
に乗ってきて、直線では80キロを超えることも。熊に遭わないように(?)アクラポビッチマフラーからの爆音を森に轟かせて
おりました(環境破壊だぞー)。途中キンムトーの入り口に到達しましたが、少し歩かなくてはならないので結局立ち寄りま
せんでした。そこにミニバンでやってきた老人グループが居たのですが、突然森の中から巨大なバイクが現れたことで相当
驚かせてしまいました。別に威嚇するつもりではなかったんですが、早々にその場を立ち去りました。林道終わりまで行くと
屈斜路湖畔(湖の中ほど)に抜けます。そこを南下し、国道243号線を美幌峠方面に向かい、その途中から先ほど逃した
屈斜路湖畔林道に侵入。逆側から入ったわけです。この道も石がややゴロゴロしているものの、無茶をしなければ楽勝で
走れました。嫁さんとの約束の時間が迫っていたので、湖が良く見えるところまで行ったところで停車。写真を撮って引き
返しました。結局これらの林道で他のバイクや車に遭遇することは全くありませんでした。エンジンを止めると風の音だけが
聞こえてきます。大自然の真っ只中。そこでゴロッと横にでもなりたい気分なのですが、いつどこから熊が現れても不思議
では無い雰囲気なのです。何でも熊はガソリンの様な揮発性の油脂が好きだそうです。エンジンを切ってしまえばバイクは
熊をおびき寄せるかも?怖くなって早々に立ち去りました。
 結局ダートを走った合計距離はせいぜい30キロぐらいでしたが
気分的には大満足。ライダーの技量はまだまだですが、950アド
ベンチャーがKTMオフロードバイクのフラッグシップであることを
確認出来た様な気分です。950アドベンチャーと同等かそれ以上の
オンロード性能を持ったバイクは山ほどあると思いますが、今回行
った程度の走り易い林道でも、他のバイクでは走れなかっただろう
と思います。本当に”Go Anywhere!”なバイクです。もちろん、今回
走った林道も、EXCだったらもっとバンバン走れただろうことは間違
い無いです。さらにはもう少し厳しそうな林道にもどんどんアタック出
来たでしょう。でもEXCなら荷物は積めない、タンデム出来ない、
長距離はとても疲れる、と肝心のツーリングがこなせないことも明ら
かです。道の状況に応じて変身してくれるバイクが一番良いですが、
そんなものあるわけ無いですよね。
 それにしても、北海道の林道は素敵です。まず、国道の入り口からい
きなりダートが始まり、看板もちゃんと出ているので、林道を探し易い
今回タンデムツーリングで移動している間も、林道の入り口を見つけて
は「あー面白そうだなー」と覗き込んでいました。しかもそれらの林道が
良く整備されていて走り易く、大抵は貫通して他の地域に抜けられます。
 ですから、林道を経由したルート設定もとてもしやすいわけです。岐阜の林道みたいに険しくて、しょっちゅう崩落していたり
はしないです。森の中を抜ける平坦なルートが多かったので、岐阜の山奥に行った時に感じる「この崖から落ちたら死ぬぞ」
という恐怖感もありません。もっと時間があって、EXCも持って行ってたら、林道という林道を探検しまくることが出来たでしょう
ね。でも、今回は北海道バイクツーリング初体験です。またの機会の楽しみにしましょう。
 家を出る時にセットしたトリップメーターは2周して、北海道ツアーの走行距離は2080キロとなりました。新品だったタイヤも既
にハッキリ減っています。フロントフォーク、タンク、スクリーンにへばり付いた物凄い数の虫の死骸が走ってきた距離を実感さ
せます。ダートで跳ね上げた泥も汚れと言うよりは勲章の様にさえ見えるのも満足感の現われ。帰りのフェリーに積み込んだ
時、隣のバイクよりもすっくりと高くそびえ立つアドベンチャーが何と逞しく見えることか。色んな場所に連れて行ってくれて、
新しい経験をさせてくれたアドベンチャーに感謝です。
 おまけの情報。北海道に来ていたバイクは様々ですが、ハーレーやそのイミテーションの類のバイクが多かったですね。
酪農地帯の直線道路なんかをのんびり走るにはぴったりでしょう。250クラスのオフロードバイクも多かったですが、荷物の積
み方が悲惨なものが多かったです。ロードスポーツも当然多いですが、荷物の積み方はトレールバイクよりもさらに苦労して
いる感じです。やはり王道を行くのはBMWのGSやRTなど。いかにもスマートな感じの装備になっていました。それからゴール
ドウィングも敵無しの感じですね。では肝心のKTMは?950アドベンチャーとは2回遭遇しました。1台は我々と同様タンデムで
のツーリングをされていました。2台ともトップケースのみの装備でしたから、遠方から来ていないのか、あるいは我々と同様ど
こかをベースキャンプにして日帰りツーリングに出かけているのかも知れません。その他は950SMを1台見ました。確認したの
はその3回だけです。ひょっとするとエンデューロモデルも走っていたのかも知れませんが、多分森の中でしょう。やはりマイナ
ーな存在ではありますね。アドベンチャーは目立ちますから、他のライダーからだけでなく、車で来ている人たちにもジロジロ
見られることが多かったです。

 北海道に行ってホントに良かった。旅の思い出に浸りつつ、来年またあの地を訪れたいという気持ちが既に沸々と湧き上
がっています。今度は道北かな?さらには、ある意味北海道よりも遠い、東北も旅してみたいなぁ。バイクに乗るって本当に
楽しいですね。それでは皆様、次回のリポート(来年か?)ま






月にアドベンチャー 第8回                              2006.8.15
 「北海道に行きました!」